2021年、8年間放置していた子宮筋腫に向き合って治療したときの話を綴っている。
前回は、入院初日のことを書いた。
手術が翌日に控えていたので案外大忙しだった。
今回は、入院生活のことについて語りたい。
入院期間は1週間。
1日目に手術の準備、2日目に手術、そして7日目で退院の予定だ。
4人部屋か?個室か?
部屋は4人部屋だった。
実は、入院20日前、入院について詳しい説明があった日に
個室か4人部屋か選んで申し込むことができた。
状況によって希望する病室が空いていないこともあるけど選べる。
もちろん料金は何倍もの差があり、当時の個室は1日につき1万円。
1人大好きな私はそれでも少し迷ったけど、決め手は
どうせ頭痛起こすから大金払って個室選んでも幸せも快適も感じられないであろう
という確信だった。
入院費は節約して、その分を元気になった時に好きなことに使おう!
ということで、4人部屋を選択。
ちなみに、
「4人部屋に入院しても、空きがあれば途中から個室に移ることもできます」
と看護師さんは言っていた。
実際、同室の人が一人、術後から個室になるよう変更して移っていった。
部屋のようすと正直な感想
入院した部屋はこんな感じ。
それぞれのベッドを囲うようにカーテンがあってプライバシーは確保されている。
白い部分は窓だ。
この部屋で過ごした1週間の入院生活は、どうだったのか?
悩んだところやどうでもいいところまで、思いつく限りあげていきたい。
音と光は筒抜け
4人部屋の不自由だったこと①。
当たり前だけど、音は筒抜け。衣擦れの音まで伝わり合う。
術後はベッドのリクライニング機能を頼りまくったけど
その音にも気が引けてしまうのが苦痛だった。
光も、22時の消灯後は真っ暗になるのでスマホを見るにも
けっこうな明かりが自分のスペースに灯るので
眠れない夜も何もできず、
ただただ横たわり、闇の中、朝を待った。
おなかを壊して気を遣う‥
4人部屋の不自由だったこと②。
術後に私はお腹を壊した。
お腹を壊すと急速にトイレと仲良しになる。
トイレを自分だけのものにしたくなる。
何度でも行くし何度でもマーキングする。
でも、トイレはみんなのもの。その事実が普通につらかった。
歯磨き中はさすがにノーマスクでいいよね?どうなの?
この時、2021年。
病院内でノーマスクで人と出くわすなんて論外。という空気だった。
ただ、この病室内で同室の人と出会う時、
それは歯磨き中である可能性が高かった。
歯磨きは共用部の洗面所で行うのでカーテンから出る必要がある。
歯磨き中なのだから当然マスクは外しているのだけど
その状態で人と出会って良いのかどうかよくわからず、不安だった。
さすがに良いよね?‥と思いつつ、誰かと鉢合わせしたくなくて無駄にビクビク。
予定がほぼ同じ人がいると予習ができる
4人部屋で良かったこと①。
同室には私とほぼ同じ時間に同じ手術を受ける人がいた。
その人のところに麻酔医が来れば私のところにも麻酔医が来たし
その人が点滴を刺されればまもなく私も刺された。
初めてのことで不安な入院生活の中、
はからずも実現したこの予習環境は私を安心させた。
励まし合い、回復を喜び合うことができる
4人部屋で良かったこと②。
コミュ障全開の私だけど、人と平和なやりとりができると心から嬉しい。
同室の人と手術当日にすれ違い、挨拶ついでに
お互い同じ日に手術とわかっていたので、その話題になり
「がんばりましょうね!」と励まし合えて元気が出た。
退院の日も偶然会うことができて退院を祝った。
その人とは別の人も、術後にすごく調子が悪そうだったけど
数日で元気になってすれ違った時に笑顔を見せてくれたのが嬉しかった。
大概、同じ病気の人が同室になるので、うっすらと仲間意識が芽生えて
応援したくなるのは新鮮な体験だった。
毎朝の検温が、妙に嬉しい
これは病室とは関係ないけども。
毎朝の検温、その他測定で看護師さんが来てくれるのが妙に嬉しかった。
その時に体調や困ってることについて聞いてくれるのも嬉しかった。
大切にされてる感じがする‥。
最初の4日間は特にずっと頭痛で体調が悪かったから
体調を良くしようとしてくれてる人がいることが癒しになった。
コロナ禍で見舞いも禁止だったしなぁ‥‥。( ;∀;)
部屋にシャワーはあったけど、実質、使えない。
部屋に一応シャワーはあった。
でも、使うとトイレの床まで水びたしになるし
シャワーを使っている間は誰もトイレに入れない。
4人部屋だと、気後れして使いにくい‥‥。
時間を気にして焦るのも嫌だ。
だから私は同じフロアにある共同シャワーを使った。
シャワーを浴びれるほど回復していれば移動距離も全く問題にならない。
床がピッカピカすぎて映る
毎朝、掃除の人が来てくれて各所を綺麗にしてくれる。
床はぴかぴかで鏡のようだ。
鏡のように、映る。
一応カーテンで仕切られているのだけど
鏡のような床越しにカーテン内の人と目が合うことがあった。
これはなかなか予想外の事態である。
以降、あまり床を見ないようにした。
談話スペースの声が筒抜け
部屋のすぐそばが談話スペースで、
換気のために病室のドアは常に開けっ放し。
病室内で電話をするのが憚られる人や
保険適用など金銭面の相談をする人が談話スペースに行き、
そして私たち4人は全てを聞くことになる。
換気はしないといけないし、どうしようもないんだけど
せめて内容に注意を向けない事しかやりようがない。
お布団重い
布団が妙に重かった。
夏だったので薄手だったのだけど、
この薄さで、中に何が入ってるんだ!?と思うぐらい重かった。
術後の体に載せるとしんどそう。
タオルケットを所望して、出してもらえたのは本当に有難かった。
夜はタオルケットを被り、足元だけ布団につっこんで寝た。
スリッパをベッド下にしまわないでぇ~
院内を歩く用のスリッパは常にベッド横の床にあり、
毎朝の掃除の邪魔になっていたと思うのだけど‥
これを掃除のたびにベッドのそばからベッド下に移動されてしまうのが
身体的に意外ときつかった。
ベッド下から引き出して履く時、否応なしに腹筋を‥腹筋を使う‥‥!
術後3日間ぐらいは内心「うごごごあがががが」と呻いていたっけ‥
個室には、しなくて良かった
楽しい生活でした‥とは言えないし
基本、まともに眠れなかったけど
個室を選択すれば良かったという後悔はない。
人に迷惑をかけて迷惑をかけられるのって実はそんな悪くないんじゃないか
と思った貴重な時間でもあったからだ。
つかなければならない嘘の数が多いほど人と過ごす時間は苦痛だ。
→私は音を立てない人間です。
→私は終始体調が安定してナースコールを鳴らさない人間です。
→私はお腹を壊さない人間です。
入院中は、そんな嘘をついてる場合じゃない。
他人に迷惑をかけるまいという気持ちは
だからお前らも私と同じぐらい努力をして私に迷惑をかけるなよという気持ちと
表裏一体となっていることもある。
必ずしも良い事とは言い切れない。
そして、そもそも、無理だ。
病室でいびきや緊急搬送されてきた人や助けを求める声などを聴きながら
今後、年を重ねるにつれ大事になってきそうな気付きを得たのだった。