2021年、8年間放置していた子宮筋腫に向き合って治療したときの話を綴っている。
前回は、術後1日目の朝のことを書いた。
血圧が低いせいか、なかなか予定通りに回復が進まなかったものの
食事を取ることで何とか立って歩けるまでに回復した。
点滴は打っていても、経口摂取の栄養って必要なんだなと実感した。
術後1日目 術創の痛みの具合
手術が決まってから数か月、恐れていた。
術後の切られた腹の痛みとはどれほどのものなのか。
経験が無いだけに未知で、それは自分に耐えられるものなのか気がかりだった。
結果から言うと、耐えられはする。
指のささくれが痛いだけで掃除を取りやめるレベルの根性無しでも耐えられはする痛み。
動いていない時で 強さ4/10
うっかりお腹に力を入れてしまうなど、動き方をミスすると強さ7/ 10
という感じだろうか。
食事のたびに痛み止めの薬を飲んでいるし、傷の処置は完璧だし
お腹を切ったわりには、これでも痛みはだいぶマイルドになっているのだと思う。
でも、お腹に力を入れないことは案外むずかしく、
ただ座っているだけでもお腹の筋肉は僅かに使っているということを知った。
座り方は胡坐が最も楽で安定するし、他の体勢への変更もしやすかった。
寝るときは [ 涅槃 ]
術後ピークの体は、体勢の変更もなかなかのミッションになる。
特に、体を起こした状態から横になる時。
うまくやらなければ結構お腹に力が入ってしまい 痛み7/10 を食らう羽目になる。
私がよく用いたのは横に両手をついてするーっと滑り落ちるように寝そべる動き。
ちょうど涅槃像のような横向き寝になるため私はこの動きを涅槃と呼んだ。
とにかく臓器がおかしい!
予想外だったのは、術後、とにかく各臓器がおかしくなったこと。
胃、膀胱、大腸が赤ちゃん返りした。
これまで難なく行えていたことにいちいち戸惑ってる感じ。
胃の異常
術後初めての食事となる流動食。
口に運び、胃に到達するたびに「ヒャァ!!」と戸惑っているかのように地味に痛んだ。
夜中に吐いた影響なのか、術後の影響なのか不明。
ただ、「術後の食事は胃が痛む」と、筋腫の手術をした人複数人が口にしている。
珍しいことではなく、致命的につらいというほどでもない。徐々に解消。
膀胱の異常
尿管カテーテルをつけているとき、何度も逆流を疑った。
尿を出しているはずなのに、逆に流し込まれているかのような不快感。
結果的にこれは尿管カテーテルのせいではなかった。
外した後に気づく。
尿意と排尿が、痛覚‥!
感覚としては膀胱と尿管がガッチガチに緊張して柔軟性を一切失った感じ。
何でか常に
(( #||||°皿°||))<イギィィィ‥‥!!!!!!
と全力で力んでる臓器になってしまい、
リラックスして行う排尿が大変困難になってしまった。
なんていうか、小出しの極み。
調べてみると、大きな子宮筋腫が取り除かれたことで
排尿時に必要な膀胱の収縮が急激に変わってしまうことでこうなるらしい。
この痛い尿意、痛い排尿が本格的に解消しだしたのは、術後20日を過ぎたあたりから。
それまでも、排尿時の脱力を心掛けることで軽減はできたけど‥。
臓器の順応は気長に見なければならない。
大腸
手術から目覚めた大腸のテンションは異常だった。
思えば、手術直後の体の様子を聞いてきた先生に開口一番に行ったのが
「何故か肛門が痛いです‥‥」だった。
今思えば何言ってんだ。
でも、実際痛かった。「でかいオナラか何か、肛門付近で踏みとどまってます‥?」
と疑いたくなるような出口付近の強い圧迫痛。
それこそが大腸過覚醒の兆候だったのだろう。
覚醒しすぎた大腸が術後1日目の体を鬼教官みたいに何度もトイレへ追い立てた。
家族が、術後の便秘を心配してプルーンエキスをくれたんだけど
逆!逆!逆方向に振り切ってる!
これは筋腫の手術後、よくあること‥でもないらしい。
普段から便通だけは良かった自分、術前の下剤が効き過ぎたのか
膀胱と同じく大きな筋腫が去ったことで大腸も大移動して
その変化でテンパってしまったのか‥‥
先生にも原因不明と言われながら整腸剤を処方してもらうことになったのだった。
ひとときの安息
腹切り侍(?)としての痛まない体のさばき方に苦戦し、
臓器の異常に振り回されながら術後1日目の夜を迎えた。
酸素吸入のハッピー状態が終了してからは
気分もずっと悪いので全く寝付けず、1時間おきに時計を見る。
そんな夜中、少し嬉しいことがあった。
残り1本になったとはいえ、煩わしかった最後の管・点滴がいったん休止となった。
その日の分の点滴が終わったのだ。
看護師さんが針から点滴液までの間にある接続部のみ外して
くるっと巻いて腕に貼り付けてくれた。
刺し直しとかしなくていいんだ。便利~。
何の気がかりもなく腕を動かせる幸せを久々に味わった。
おもむろにお腹の方に手をやると、大きな違和感があった。
丘が、無い。
長年私を悩ませ育ち続けた大きな丘が、
漫画で描かれる「満腹の人」みたいになっちゃうあの丘が、無い!
摘出した筋腫は1.2kgあったらしい。
いろいろ体はつらいけど‥‥
やってよかったなぁ、手術。そう実感するのだった。